決闘
メル「郵便でーす!」
小さな郵便屋さんメルは、今日も張り切って手紙を皆に届けている。
だが、この日はとんでもない手紙を預かっていることを、このときはまだ知る由もなかった。
ポエット「あ!メルちゃーん!」
メル「ポエットちゃん、こんにちはー!」
ポエット「お仕事中?」
メル「そうだよ〜。あ、ポエットちゃん宛の手紙もあるよ〜。」
ポエット「え、本当!?」
メル「えーっとねぇ…あった!はい!」
ポエット「ありがとう〜!あ、リンリンちゃんからだ!」
手紙を貰ってはしゃぐポエット。だが、その見出しには不吉な3文字が刻まれていた…。
ポエット「えーと、なになに?ちょうせんじょう…。」
メル「ちょ、挑戦状〜!!?」
ポエット「ど、どうしたの!?」
メル「あ、ごめん…とりあえず、中見てみようよ!」
ポエット「うん!えーと…。『ポエットへ。決闘を申し込むアル!今日の夕方5時、広場にて待つアル!伶伶より。』だって!」
メル「まさかポエットちゃんにこんな手紙が…。どうする?行くの?」
ポエット「もちろんだよ!でも、けっとうってなあに??」
メル「…。」
決闘を知らないポエットに決闘の意味を教えるメル。だがしかし危機感の無いポエットを心配になったメルはポエットについていくことにしたようだ。
そして、午後5時。 待ち合わせ場所である広場にやってきたメルとポエット。
ポエット「えへへ。ポエット決闘初めて。リンリンちゃんはどこかなぁ?」
メル「あれかな?」
ポエット「あ、いた!お〜い!」
リンリン「ポエット、よく逃げずにやって来たアルね!」
メル「おぉ、お決まりのセリフ!」
ポエット「もちろんだよ〜!」
リンリン「良いアルね。闘いがいがあるアル!」
ポエット「リンリンちゃん、ポエットけっとう初めてなんだ。今日はどんなことををするの?」
リンリン「そうアルね〜。こんな決闘はどうアル…?」
そう言うとリンリンは荷物入れのカバンの中からなにやら物騒なものを取り出した。
メル「…!?リンリンちゃんが凶器(包丁)を取り出した!!」
リンリン「これで勝負アル。」
メル「リンリンちゃん、何考えてるの!?そんな勝負はさすがに認められないよ!!」
リンリン「それじゃ、いくアルよ〜!!」
ポエット「!!」
メル「だめーーー!!」
リンリン「キャベツ千切り勝負アル〜!!あたたたたたぁぁぁ!!」
ポエット「リンリンちゃんすご〜い!!切ったきゃべつが宙を舞ってる〜!!」
メル「…。」
どこからか取り出したキャベツを素早い包丁さばきで千切りにしていくリンリン。一方メルは安堵と呆れが入り混じった複雑な心境になっていた。
ポエット「ポエットも頑張るぞ〜!」
リンリン「なかなか良い包丁さばきアルね!」
ポエット「えへへ♪」
リンリン「良い勝負アル!でもワタシのほうがちょっと早いアルね!」
ポエット「リンリンちゃん、はやい!」
リンリン「あっ、キャベツがなくなったアル。」
ポエット「じゃあこれでおしまいだね!」
リンリン「結果は…どう見てもワタシの勝ちアル!ポエットのキャベツの山の10倍はあるアル!」
ポエット「うーん…。リンリンちゃん、だめだよ!切ったキャベツはちゃんとぜんぶ食べなきゃ!今切ったキャベツを先に食べ終わったほうが勝ちだよ!」
メル「うわぁ…ポエットちゃんまでそんな変なルールを!!」
リンリン「そ、そうだったアルか!!ポエットも侮れないアル…。あー!先に食べ始めるなんてずるいアルよ!!」
メル「しかも条件呑むの!?」
リンリン「こうなったら秘密兵器『中華ドレッシング』を使うアル!」
ポエット「あ、ずる〜い!!!」
メル「どっちがずるいのかもう分かんないよ…。」
ポエット「食べ終わったよ〜!」
リンリン「ワタシも食べ終わったアル!」
メル「はやいよ!!」
リンリン「くやしいアルね…同時に食べ終わったから引き分けアル!」
ポエット「そうだね!」
リンリン「ポエット、ありがとうアル。いい勝負だったアル。どっちが上かわからなかったけど、ポエットとは良いライバルでいられそうアル!でも、次は必ずワタシが勝つアル!おぼえておくアルよ!!」
ポエット「うん、いいらいばるだね!ポエットも楽しかったよ!また決闘しようね!」
メル「こんなにわけのわからない決闘、初めてだよ…。」
こうして、ポエットとリンリンの決闘は無事に終わりました。
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